週末の密会、ホテルのスイートで

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週末の密会、ホテルのスイートで

夫との会話はもう何年も前に枯れ果てていた。結婚十年目、私たちはただの同居人になっていた。愛されていないという渇きが、私の心を砂漠のようにカラカラにさせていた。


そんな時、私は一枚の黒いカードを手に入れた。完全紹介制の高級交際クラブ「ノクターン」。それが私の日常を壊す鍵になるとは、まだ知らなかった。

クラブの担当者に紹介されたのは、相沢と名乗る五十代の男性だった。電話で話した声は、低く落ち着いていて、それだけで私の体の芯が微かに震えた。私たちは週末、都心のホテルのスイートで会うことになった。夫には「友人と温泉旅行」だと嘘をついた。罪悪感よりも、未知への期待が勝っていた。


金曜の夜、ホテルの最上階にあるスイートルームのドアを開けると、そこには相沢さんが立っていた。上質なグレーのスーツを着こなし、歳の割には引き締まった体躯。そして何より、全てを見透かすような深い瞳が印象的だった。

「お待ちしていました、美咲さん」

彼の声に導かれ、部屋に入る。窓の外には、宝石を散りばめたような東京の夜景が広がっていた。彼は私のコートを自然な仕草で受け取ると、クローゼットにかけてくれた。その紳士的な振る舞い一つ一つに、私は自分が特別な存在として扱われていることを感じた。

「まずは、シャンパンでもいかがです?」

彼はルームサービスで冷やしておいたシャンパンを開けた。グラスに注がれる黄金色の泡が、まるで私たちの密会の始まりを祝福しているかのようだった。私たちはソファに座り、他愛もない話をした。私の仕事のこと、彼の趣味であるクラシックカーのこと。彼の話は知的で、私の知らない世界を垣間見せてくれた。


会話が途切れた瞬間、彼の手がそっと私の手に重ねられた。大きくて、少し節くれだった手。その温かさに、私の心臓が大きく跳ねた。

「美咲さん、あなたはとても美しい。その瞳の奥に隠された情熱を、私が解き放って差し上げたい」

彼の指が、私の指に絡みつく。私は何も言えず、ただ彼の瞳を見つめ返すことしかできなかった。彼はゆっくりと立ち上がると、私の手を引いて寝室へと誘った。


キングサイズのベッドが置かれた寝室は、間接照明でムーディーな雰囲気に包まれていた。彼は私の前に跪くと、私のハイヒールをそっと脱がせた。そして、私の足の甲に、まるで聖物に触れるかのように唇を寄せた。

「ひゃっ…!」

思わず声が漏れた。足の先から、経験したことのないような甘い痺れが全身を駆け上っていく。彼は私のワンピースのジッパーに手をかけると、ゆっくりとそれを下ろしていった。服がはらりと床に落ち、私は黒いシルクのランジェリー姿になる。この日のために新調した、私なりの覚悟の証だった。

「素晴らしい…」

彼は感嘆の息を漏らしながら、私の体を隅々まで見つめた。その視線は、まるで私の全てを剥き出しにしていくようで、恥ずかしさと興奮で体が熱くなった。彼は私をベッドに優しく押し倒すと、私の体に覆いかぶさった。


彼のキスは、夫のそれとは全く違っていた。貪るような激しさではなく、私の反応を確かめるような、丁寧で優しいキス。私の唇の形を確かめ、舌をゆっくりと絡ませてくる。彼の指は、私の体の最も敏感な場所を探り当て、的確に刺激してきた。

「あ…ぁん…」

私の口から、自分でも驚くような甘い声が漏れる。彼は私の耳元で囁いた。

「もっと声を聞かせてください。あなたの感じている全てを、私に教えてほしい」

彼の言葉は魔法のようだった。私の理性の箍は外れ、快感の波に身を委ねた。


そして、彼の熱く硬いものが、ゆっくりと私の中へと入ってきた。久しぶりの充実に、私の体は歓喜の声を上げた。彼は私の内壁を確かめるように、ゆっくりと腰を動かし始めた。

「気持ちいいですか、美咲さん」 「はい…すごく…気持ちいいです…」

私たちは何度も体を重ねた。彼の巧みなリードで、私は今まで知らなかった快感の頂を何度も味わった。汗ばんだ肌を重ね合わせ、互いの名前を呼び合う。この瞬間、私は確かに「女」として生きていた。


週末の二日間、私たちは部屋から一歩も出ず、ただ互いを求め続けた。食事は全てルームサービス。シャンパンを飲み、愛を語り、そして体を重ねる。まるで世界に二人だけしかいないような、濃密な時間だった。

日曜の午後、私たちは別れの時を迎えた。彼は私に一枚の封筒を渡した。

「これは、私の感謝の気持ちです。また、お会いしたい」

封筒には分厚い現金の束が入っていた。私は複雑な気持ちでそれを受け取った。この関係は金銭で成り立っているのだと、改めて思い知らされた。

でも、家路につくタクシーの中でも、体の芯にはまだ彼の温もりが残っていた。来週末も、またあのスイートルームで会うのだろう。罪悪感と背徳の快感が入り混じり、私は複雑な思いで窓の外の景色を見つめた

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