深夜のラジオ、秘密の周波数

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深夜のラジオ、秘密の周波数

深夜二時の「ミッドナイト・トラベラー」が唯一の癒しだった。パーソナリティKの低く甘い声が孤独な夜を包み込む。上質なブランデーのように心を酔わせた。

リスナーの悩みに真摯に耳を傾けるコーナーで、いつしか声だけの存在に恋をしていた。ある夜、勇気を出してハガキを送った。

『Kさんの声に毎晩癒されています。いつかお会いしたい』

読まれるはずがないと思っていたが、その週の放送で紹介された。

「ありがとう。俺も君に会いたい。今夜、番組終了後ラジオ局の裏口で待ってて」

心臓が張り裂けそうだった。夢か冗談か迷った末、局に向かった。


深夜三時半、裏口で待つとドアが開き、彼が現れた——想像以上に優しげで知的な男性。

「君が送ってくれたんだね」

頭を撫でられ、緊張がほぐれた。公園まで歩き、番組や互いのことを語り合った。

「君のことが気になっていた。ハガキの文字がとても綺麗で」

突然手を握られ、声と同じ甘く優しい口づけを交わした。


その夜彼の部屋で結ばれた。初めてだと知るとより一層優しく丁寧に愛してくれた。腕の中で特別な存在になれた気がした。


翌朝、朝日に照らされ目覚める。

「おはよう」

優しい声に幸せを噛みしめた。


それから生活は一変。毎晩番組を聴き、終われば彼に会いに行く。誰にも言えない秘密の関係。

いつか公になる日が来るかは分からない。今は彼の甘い声と優しい腕の中が私の世界の全てだ

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