美容師になって、新しい自分を見つけた
A real story from our community

私、井上愛子は、28歳。三年前まで、大手企業のOLだった。でも今は、美容師として、町の小さな美容院で働いている。
「愛子、今日も頑張ろうね」
朝のミーティングで、店長の山田さんが声をかけてくれた。
「はい、今日もよろしくお願いします」
私は、笑顔で答えた。でも、三年前の私が、こんな自分を想像していただろうか。
「愛子、また、残業?」
当時の彼氏、健太にそう言われて、私は疲れた顔をした。
「うん、プロジェクトが大変で…」
「でも、こんなに働いて、君は、幸せ?」
私は、答えられなかった。確かに、給料は良かった。でも、毎日が、空っぽだった。
「実は、私…転職を考えてるの」
ある日、私は健太にそう告げた。
「えっ?どうして?今の仕事、嫌なの?」
「ううん、違うの。ただ、私、もっと人の役に立ちたいの。もっと、直接…」
「でも、君は、今の会社で、キャリアを築けるじゃないか」
私は、首を振った。キャリアより、大切なものがあることに、気づいていた。
「愛子、本当に美容師になるの?」
母は、心配そうに聞いた。
「うん、もう決めたの」
「でも、28歳で、また一から…」
「大丈夫。私、頑張るから」
私は、美容学校に通い始めた。周りは、十代の子たちばかり。でも、私は、負けないと決めた。
「愛子さん、モデルさん、お願いします」
実習で、私は、初めてのカットに挑戦した。手は震えた。でも、先生に褒められた。
「いい感じですよ。愛子さん、センスありますね」
「本当ですか?」
「ええ、きっと、良い美容師になれますよ」
その言葉が、私の背中を押した。
二年間の修行も、無事に終わった。私は、美容師免許を取得した。
「愛子、おめでとう!」
健太は、私の夢を応援してくれた。でも、私たちの関係は、少しずつ変わっていった。
「ごめん、健太。私、今は、美容師になることだけを考えたいの」
「わかった。でも、俺は、君を応援してるよ」
私たちは、別れた。でも、恨みはなかった。お互いの道を、歩むことにした。
「新しいスタッフ、井上愛子です。よろしくお願いします」
私は、町の美容院で、働くことになった。小さな店だけど、温かい。
「愛子ちゃん、今日から、一緒に頑張ろうね」
先輩の美穂さんは、優しくしてくれた。
「美容師さん、今日も、きれいにしてくれて、ありがとう」
お客様に感謝されて、私は幸せを感じた。これが、私の求めていた仕事だ。
「愛子ちゃん、上手になったね」
「ありがとうございます。美穂さんに、いろいろ教えてもらったおかげです」
私は、少しずつ、腕を上げていった。
「実は、私…結婚することにしたの」
美穂さんが、そう言った。
「えっ、おめでとうございます!」
「ありがとう。でも、店を辞めることにしたの」
私は、寂しかった。でも、美穂さんの幸せを、心から願った。
「愛子ちゃん、きっと、あなたも、幸せになれるから」
美穂さんの後を継いで、私は、店の柱になっていった。
「井上さん、今日も、素敵なスタイルにしてくれて、感謝です」
「ありがとうございます。また、お待ちしております」
私は、お客様との信頼関係を、大切にしていた。
「愛子、実は、私たちの店、もう少しで、経営が…」
ある日、店長が、深刻な顔で話しかけてきた。
「えっ?どういうことですか?」
「客足が、少しずつ減っててね…」
私は、考えた。どうにかして、この店を守りたい。
「私、なんとかします。新しいメニューとか、企画とか…」
「愛子…頼むよ」
私は、新しいスタイルの提案を始めた。SNSでの宣伝も始めた。
「井上さんのアイデア、素晴らしいわ」
「ありがとうございます。もっと、皆さんに喜んでいただけるように」
少しずつ、お客様が戻ってきた。
「実は、私…独立することにしたの」
ある日、私は店長にそう告げた。
「えっ?どうして?」
「この店を守るために、もっと、自分の力を試してみたいの」
店長は、理解してくれた。
「愛子なら、きっと、うまくいくよ」
私は、小さな自分の店を開いた。名前は、「Sakura」
「愛子ちゃん、本当に、おめでとう!」
昔の友達や、お客様が、祝ってくれた。
「今日から、ここが、私の新しいスタート」
今でも、私は「Sakura」で、働いている。
「美容師さん、今日も、素敵にしてくれて、ありがとう」
「こちらこそ、来てくれて、感謝です」
私は、自分の選んだ道を、誇りに思っている。
「OLを辞めて、良かった…」
『美容師になって、新しい自分を見つけた。それが、私の本当の生きがい』




