雨宿りで始まった恋
A real story from our community
私、伊藤美咲は、22歳の大学生。今日も、図書館で勉強していた。でも、外を見ると、土砂降りの雨だった。
「ああ、嫌だなぁ…」
私は、傘を持ってきていないことに気づいた。こんなに降られては、帰るに帰れない。
「君、傘、持ってないの？」
突然、後ろから声をかけられた。振り返ると、そこには、同じ大学の先輩が立っていた。山田先輩。文学部の四年生で、図書館のバイトをしている人だ。
「はい…忘れちゃって」
「だったら、一緒に帰ろうか？俺は、傘、あるし」
私は、少し迷った。でも、こんな雨では、仕方がない。
「ありがとうございます」
二人で傘をさして、歩き始めた。山田先輩は、私に傘を傾けてくれて、自分は少し濡れていた。
「先輩、濡れちゃいますよ」
「いいよ、君の方が大切だから」
その言葉に、私の胸が高鳴った。なんて、優しい人なんだろう。
「どこまで帰る？」
「駅までで、結構です」
「じゃあ、駅まで送るよ」
駅までの道のりは、思ったより長かった。でも、先輩と話していると、あっという間だった。
「君は、何学部？」
「経済学部です」
「へえ、じゃあ、後輩だね」
「はい。先輩は、文学部ですよね？」
「うん。図書館のバイトもしてるんだ」
私たちは、授業のこと、将来のこと、そして、好きな本のことについて話した。
「実は、君のこと、前から知ってたんだ」
「えっ？」
「図書館で、いつも真剣に勉強してるでしょ？それで、気になってた」
私は、顔が熱くなるのを感じた。私なんかを、先輩が気にかけてくれていたなんて。
駅に着いた。でも、私は、もう少し先輩と話していたかった。
「ありがとうございました」
「いや、こちらこそ。楽しかったよ」
「あの…」
私は、思い切って声をかけた。
「今度、お茶でも飲みませんか？お礼がしたくて」
先輩は、少し驚いたような顔をした。でも、すぐに、優しく微笑んだ。
「いいよ。ぜひ、誘ってくれ」
その後、私たちは何度か会った。図書館で、キャンパスで、そして、街で。
「美咲ちゃん、実は…」
一ヶ月後、先輩は私に告白した。
「俺、君のことが、好きなんだ」
私は、驚いた。でも、嬉しかった。
「私も…先輩のことが、好きです」
私たちは、付き合い始めた。最初は、恥ずかしかった。でも、だんだんと、自然になっていった。
「覚えてる？あの雨の日のこと」
「うん、覚えてる。あの日が、私たちの始まりだったね」
「本当に、あの雨に感謝してるよ」
私たちは、いつもあの日のことを話した。偶然の雨宿りが、私たちを結びつけてくれた。
先輩の卒業が近づいてきた。私は、寂しかった。でも、先輩は、私を安心させてくれた。
「心配するな。俺は、君のことが好きだから。卒業しても、変わらない」
「本当に？」
「ああ、本当だよ」
私たちは、手をつないでいた。これから、どうなるかわからない。でも、この気持ちは、変わらないと思った。
先輩は、就職して、社会人になった。私は、まだ学生。でも、私たちの関係は、続いていた。
「美咲ちゃん、今日は特別な日だよ」
「えっ？」
「俺たちが、出会って一年だ」
私は、驚いた。そんなこと、覚えていてくれたんだ。
「ありがとう、先輩」
「もう、先輩じゃないだろ？健司と呼んでくれ」
「うん…健司さん」
私も、卒業して、就職した。健司さんと同じ街で、一緒に暮らし始めた。
「美咲、結婚しよう」
突然のプロポーズに、私は涙が出た。
「うん、結婚しましょう」
私たちは、家族や友人に祝福されて、結婚した。
結婚式の日も、雨だった。でも、私たちは、それを幸運だと思った。
「覚えてる？あの日も、雨だったね」
「うん、雨が、私たちを結びつけてくれた」
「これからも、雨の日を大切にしよう」
私たちは、キスを交わした。雨に濡れながら、でも、幸せなキスだった。
今でも、雨の日になると、私たちはあの日のことを思い出す。
「健司さん、雨宿り、してる？」
「してるよ。君と、初めて話した日を」
私たちは、窓の外を見る。雨が降っている。でも、私たちの心は、暖かい。
『雨宿りで始まった恋。それは、私たちの永遠の思い出』
