隣人は、年下の美大生
A real story from our community

都会の古びたマンション。隣室に新たな住人が。壁が薄く、夜中に響くキャンバスを撫でる筆の音やギターの旋律。少し迷惑ながらも、音の主に興味を抱いていた。
ある日ゴミ出し中、隣の扉が開いた。二十代前半と思しき青年——無造作な髪、絵の具で汚れたスウェット、そして眠そうなまなざしが印象的だった。
「あ、どうも」
小さな会釈が交わされた最初の会話。
それから廊下ですれ違う度に言葉を交わすようになった。美大生のハルくん——いつも「お姉さん」と呼ぶ。
ある雨の夜、仕事の大失敗で落ち込んでいると、壁越しに優しいギターの音色が。荒れた心を撫でるような旋律に導かれ、彼のドアをノックした。
「お姉さん?こんな時間に」
驚く彼に、アルコールの勢いで言った。
「ギターを近くで聴かせて」
絵の具の香り満ちる部屋。壁には未完のキャンバス。ベッドに並んで座り、彼が奏でる数曲——指先から紡がれる音色が心の澱を溶かしていく。
「ありがとう、元気出た」
伝えると、彼はギターを置き真剣な眼差しで言った。
「お姉さん、寂しそうな顔するときあるね」
年下に見透かされた気がした。
「俺がその寂しさ埋められないかな」
不器用でまっすぐな口づけを拒めなかった。
若々しい身体はエネルギーに満ち、服を脱がす手つきは拙いが眼差しは真剣。もつれながらベッドに倒れ込んだ。
驚くほど滑らかな肌、激しい動き——年の差など無意味だった。彼が頂点に達した時、私は背中に爪を立てた。
それから毎夜、身体を重ね合うように。彼は若さの技法を、私は大人の悦びを教え合い、互いの渇きを貪るように癒した。
恋人とは違うかもしれない——寂しさを埋め合う共犯者。それでも彼の腕の中で眠る時、都会の片隅で確かに生きている実感を得られるのだ




